旧正月・日本での行事はどうなったの?
2016/03/10
お正月と言えば日本では「今の」カレンダーの「1月1日」ですが、日本のお隣の中国や台湾・韓国などでは旧正月を盛大にお祝いしています。
むしろアジアでは、日本だけが旧正月をお祝いしていないことを、疑問に感じている人もいるかもしれませんね。
このようになってしまった訳は何なのでしょう?
また、日本での旧正月をお祝いする行事はどうなったのでしょうか。
調べたことをまとめたので、ご覧ください。
旧正月をお祝いする国々の行事
旧正月とは「旧暦の正月」のことです。
また「旧暦」とは日本においてかつて用いられていた太陰暦を指します。
旧正月は、中華圏(中国・台湾・香港・マカオなど)・韓国・ベトナム・モンゴルでは最も重要な祝祭日のひとつです。
その他、華人の影響の強い東南アジア諸国(シンガポールなど)や、世界各国の中華街でも、旧正月をお祝いする習慣があります。
これらの国々のうち、中華圏と韓国の旧正月の行事について紹介します。
○中華圏
・旧正月は「春節(チュンジエ)」と呼ばれます。
・「除夕(チュウシー)」と呼ばれる、旧暦の大晦日に、家族全員で「年夜飯(ニィエンイエファン)」と呼ばれる日本のおせち料理のような「ごちそう」を家族全員で食べます。
・午前0時になり新年が訪れると、爆竹を鳴らします(魔除けのため)。
・一年の健康や幸福を願い、新しい衣服を身に着けます。
○韓国
・旧正月は「ソルラル」と呼ばれます。
・家族みんなで「トックッ(餅入りのスープ)」を食べます。
・「茶礼(チャレ)」という、先祖にごちそうをお供えする行事を行います。
・ユンノリ(すごろく)・チェギチャギ(羽蹴り)などの、伝統的なゲームで遊びます。
・無病息災を願って、新しい衣服を身につけます。
なんとなく、日本の今のお正月のお祝いに通じるものがありますね。
旧正月から今のお正月に行事が移っていった訳
日本では、明治6年(1872年)に、アジアでは初めてそれまでの太陰暦から現在の太陽暦へと「改暦」が行われました。
しかし、改暦の発表は実際に施行される22日前であり「12月3日」の翌日がいきなり「1月1日」になったりしたので、大混乱が起こったようです。
改暦の背景には、当時の政府の財政難がありました。
太陰暦では2~3年ごとに「閏月」を入れて1年を13か月にする必要があり、これに準ずると職員への給料を1年に13か月分支給しなくてはならなかったのです。
また当時の日本は欧米諸国との今後のつきあいを視野に入れており、暦も欧米諸国に合わせなくては、という動きになっていたようです。
しかし、新暦はなかなか世間には馴染まず、お正月などの行事はしばらく旧暦で行われていたのです。
今も旧正月を祝う地域がある
結局お正月は、大正時代の終わりごろまでは旧暦でお祝いされていたようですが、社会全体が新暦で動くようになるにつれ、徐々に現在の元旦へと移り変わっていったようです。
しかし、現在も沖縄県の一部や奄美諸島では、旧正月をお祝いする行事が残っています。
一部の神社や寺院でも行事を執り行うところがあります。
従って、あまり話題には上らなくなっただけで、旧正月を祝う伝統はまだ完全に消えたわけではないと言えます。
最後に
・旧正月の方が実際の季節に沿っている
「新春」という言葉がありますが、現在のお正月では冬の最中ですね。
しかし旧暦は季節に沿った暦ですので、実際は旧正月の方が「新春」の雰囲気をより感じることができるのです。
今度のお正月や旧正月には、そんなことに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
テレビで見るアジア各国の旧正月のお祝いも、特別なものに見えるかもしれませんよ!